04−01−16 ちょっと政治的なこと
今週は風邪気味で、帰宅を早めにしておりました。
今日もちょっと早いとは思ったのですが、夕方の5時30分に会社を出ました。家の近くのI−270(コロンバスの環状高速道路)に入ると、ものすごい渋滞。2km以上はあったと思います。

こんな時は焦っても仕方ないので、ラジオを聞いたり、CDを聞いたりで、のんびり運転する事にしています。渋滞の理由は案の定、事故でした。ノロノロ運転の車線は別として、残りの3車線は120km以上のスピードでガンガン飛ばしていますから、一旦事故があるとひどい渋滞になります。
ハンドルを握りながら、ラジオを何とはなしに聞いておりましたら、コロンバスのローカルニュースが、イラクへの日本の自衛隊派遣のトピックをやっていました。勿論、全部が理解できる訳ではないのですが、大体次のような事を言っておりました。

「日本の国防軍(Defence Force)がイラクに派遣されることに決まった。戦闘任務は付与されていない、工兵部隊が主である。給水とか建設等の技術的な支援のための部隊である。
日本の工兵部隊は600人が派遣される予定。日本の国防軍が派遣されるサマワはオランダ軍が警備しており、日本の工兵部隊はオランダ軍に警備をしてもらい、任務を行う。日本の将兵(Officers and Men)は、極めて優秀であるとの評判である。」

「日本の国防軍」の派遣がこのようなオハイオ、コロンバスのローカルのニュースにも流れるというのは、アメリカ人、特に私の会社のような日系企業に働くアメリカ人は、敏感に感じ取っている人もいると思います。

サマワでは日本の自衛隊が来る事が決まった瞬間、「歓迎、日本」、の垂れ幕が警察署に上がったそうです。これに対して、同地にいるオランダ軍の司令官から、「何でオランダは歓迎じゃないのだ!」、と抗議をしたらサマワのイラク人の警察署長、「オランダは占領軍だろ?日本は我々を助けに来てくれる。これが理由だ。」、と言ったそうです。

アメリカにいると日本のマスコミ、政治家、その他が日本国内向けに言っている事とは、ちょっと違うイメージを自分の国である日本に対して感じる事があります。

もっともっと、アメリカの新聞を見て、アメリカの本を読んで、アメリカのテレビ・ラジオを聞けばいろんな事がわかるのでしょうが、そんな事したらオレ、英語でノイローゼになってしまうしナー、、、、、、、。
今日の夜、一杯やりながら7時30分から放送される、NHKのニュースを見ておりました。
このニュースは日本の朝7時に放送されるニュースを、2時間30分遅れで見れるのです。ですから金曜日のこの時間のニュースは、日本の土曜日の朝7時のニュースです。

その中で阪神大震災から9年目の神戸での行事、それに関するニュースをかなり長い時間やっておりました。
何千人の方が亡くなった大震災で、家族とか地域の人達が慰霊をして、歌を歌って故人になっ人達を思い出し、そして2度とこのような事が起きないように祈っている、という内容でした。

私は結構アルコールも入っており、ボーッとして番組を見ておりましたが、何かが抜けている、何かおかしいと感じました。
地震は自然災害ですが、多くの犠牲者が出た理由は人災でもあるというのは、多くの人が認める事です。地震に耐えられない、古い建物、それと起きた時の救助体制の不備。
特に地震直後の救助のやりかたには、今でも多くの問題が残されているというのを聞いたことあります。

ニュースでは9年前に比べて、今はこのように体制が変わっている、この震災を教訓にしてこのような対策になっている、という内容の報道が一つもありませんでした。
尊い命が信じられないくらいの数で失われ、そして日本中では同じような地震が今日起きても不思議ではないという状況の中で、これが報道されないという事は、いったい何なのでしょうか?

お祈りと、歌を歌う姿、それに街頭のインタビュー、それにお年寄りが孤独で亡くなっていく、という内容に終始しておりました。何か変だとは思いませんか?
ある意味での人災であった阪神大震災に関して、その責任を責められない日本の政治家とか官僚は楽な人達だなーと思いました。
誤解を恐れずに言えば、政治家を始め、当時の行政は判断を間違って助かる筈だった人を多く死なせても、その家族は歌を歌ってろうそくを持って涙を流しているだけ。
報道もそのような姿だけを映すだけ。

今でも忘れられないのは震災直後、在日米軍が軍医と衛生兵をかき集められるだけかき集めて(確か200人以上)、航空母艦を病院に仕立て、へりコプターを40機以上搭載して、3日目に神戸の沖に来て、日本政府に支援を申し出た時の事です。
これは司令官が、本国に意見具申をすると同時に、ほぼ単独で判断をして行動したと後で聞きました。
でもこれを日本は断りました。理由はよく知りません。どうも人の命より政治的な判断が優先したようです。

911の後アメリカでは、遺族が事件を引き起こした行政の責任を追求して、多くの訴訟が起きました。
その判決は非常に厳しいもので、これを受けて政府は信じられないような大きな組織改革と、予算を投入したのは当然の事でした。

アメリカには、「お上」、という考え方があまりありません。極端な話が、「俺たちが決めた連中に政治をやってもらっているのだ。」、「ちゃんとやっているか、監視するし、やっていなければ、クビにしてやる。」、というような精神が時々感じられます。これは西部劇でよく見る事ができる、一般市民の行動パターンです。

ですから逆に、自分たちで選んだ人達だから、自分たちもそれらの人に積極的に協力する、という行動パターンも感じられます。
日本は亡くなった6000人の方を教訓として、何が行われたのでしょうか。きっといろいろとやられているとは思います。
悲しむ遺族の姿と、涙を流しながら歌を歌っている人達、それに、「もう二度と起きて欲しくありません。」、という街頭の人々の声だけのニュース。
何か抜けてる。おかしい。絶対におかしい!
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