03−11−21 サンクスギビング前夜
今年もサンクスギビングのシーズンになりました。サンクスギビングとは「感謝祭」の事で、メイフラワー号で渡ってきた清教徒が飢えに苦しんでいた時に敵と思っていたインデアンが食べ物くれ、命を長らえた。そしてインディアンから農作とかを教えてもらってその収穫を喜び、神様に感謝するために会食を開いた、というのが起源だそうです。(まあ、日本の秋祭りかな?)

今のサンクスギビングは通常、親戚がどこかの家に集まり、ワイワイと食事をしておしゃべりをする、というのが一般的な過ごし方のようです。
ですからこのシーズンは何百万人、イエ何千万人の人がかなりの距離を移動するため、あちこちの幹線道路が混雑します。
近所の家を見ると、普段見慣なれない車が何台も止めてあったりして、ああここの家は親戚が集まっているのだな、とすぐにぐにわかります。
私はオハイオに赴任した最初のサンクスギビングに、あるアメリカ人の家に招かれた事があります。当時単身赴任だったので、可哀想に思ってくれたせいでしょうか、よかったら来てくださいと言われたので、行ってみました。

行ってみてびっくり、全部で17−8人の親戚が集まっており、遠くの人は車で10時間(1000km以上)掛けてきておりました。下は16才の女の子から上は75歳のおじいちゃん、おばあちゃんまで、様々。みんなそれぞれダイニングキッチン、ダイニングルーム、ファミリィールーム、リビングルームに分かれてグループを作り、食事をしながら、あるいはビールを飲みながらぺちゃくちゃ、です。

普通の家はこれらの部屋がそれぞれ10畳から12畳、時には16畳くらいの広さがありますから20人が集まっても1部屋平均5人。その時に、やはりアメリカの家は大きいなと感じました。
家の広さはともかく、こうやって親戚が集まって親交を深める、非常にいい雰囲気でした。私はゲストという事で、ダイニングルームでおじいちゃんの仕切るグループに入り、あれこれ珍しがられました。(一種の珍獣だったのかな?)

料理は台所にどっさり作って置いてありますので、適当に皿に盛って持ってきます。ビールは冷蔵庫からこれも勝手に持ってきます。
違う家族の中に東洋人の私が紛れ込んでも全然違和感がありませんでした。
今日はちょっと早いのですが、職場のサンクスギビングのポットラックの日。ポットラックとは皆がそれぞれ料理を持ち寄って職場でそれらを食べるのです。親睦会からも資金援助があります。

そしてその職場の一番上のマネージャーがローストした七面鳥を切って皆の皿に盛ります。昨年は私もこれをやりましたが、今年はJさんにお願いをしました。持ち寄った料理は大量にあり、80人の所帯の私の職場だけでは食べ切れません。隣の職場のアメリカ人も大勢参加。

みんなお腹一杯で大満足。アメリカ人のGさんなんか、「お腹一杯!明日の夕食もいらない。」、なんて言っておりました。もちろん私もお皿山盛りに食べてしまいました。

こういう行事を職場でやる時は、アメリカ人ってものすごくよく働きます。普段仕事では見えないチームワークの良さを見せてくれます。何でこれが仕事でできないのかなー。
私の職場には喫煙ルームがあり、私はここに書類を持ち込んでタバコを吸いながら仕事をすることがよくあります。
従って一部のアメリカ人からはこの喫煙室を、「SHIN'S OFFICE」、と呼ばれています。ですからアメリカ人のスタッフともここで打ち合わせをよくやります。

ポットラックの後ここでタバコを吸っているとKさんが書類を持ってやってきました。Kさんはまだ30歳前の女性です。
「SHIN、ちょっと相談があります。」

Kさんがこう切り出した時は、取引先とこじれにこじれた時なのです。
聞くと今まで3回も打ち合わせをやっても、埒があかない案件。一応話を聞いて、次の会議には私が出ることを約束し、相手側にも私の提案に対する判断ができる人に来てもらうようにお願いをしました。

話の後、Kさんに、
「サンクスギビングはどこかへ行くの?」と聞くと、
「SHIN、知らないの!」、と大きな声で言って左手を目の前に出します。指には立派なダイヤモンドの指輪。
「私、婚約しました。」という返事。あっ、そうか、あのBさんと婚約、そうそう、前に言っていたなー。
「サンクスギビングは彼とロンドンとミュンヘンに行くの。」

この後20分以上、Bさんと今までに行った旅行の話をみっちりと聞かされました。KさんとBさんはヨーロッパへの旅行が好きみたいです。
「で、新婚旅行は?」
「来年の6月にイタリ−とスイスに行きます。」

やっぱりヨーロッパ。こんな時は彼女に何て言えばイイのだろう?
ちょっと歯の浮くような言い方でしたが、直訳すると、「私はものすごく嬉しい、貴方のこんなに幸せそうな様子を見て。おめでとう。」

これでいいのかどうか誰か教えて下さい。
金曜日の午後3時。大半のアメリカ人は帰ってしまいました。来週はサンクスギビングで木曜日から4連休。月曜日から休みを取って9連休にしてしまうアメリカ人も一杯います。

サンクスギビングが終わると、オハイオもクリスマス一色。アメリカ人は11月下旬からもうルンルンの気分で、これが12月一杯まで続きます。彼らにとって楽しいシーズンの始まりです。
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