02−11−18 オハイオ人と靴
11日に日本から帰ってきたのですが4日間出社して、17日の日曜日発で今度は業務出張で日本へ。アメリカ人のD君を連れてです。
D君は14年間今の会社におり、日本へは今回で6回目。タイプとしてはどう見ても、典型的なオハイオの田舎者。

念のために今までに誰と行ったのか、どんな用件で行ったのか聞いてみるとある特定の極めて狭い範囲の仕事で、しかも一箇所しか行っていない。
実は私の会社のアメリカ人が、「日本に行った事がある。」、というのは殆どがこのパターンで、成田空港からホテルに直行、ホテルと会社を往復して、仕事が終わるとホテルから空港に直行。空港からは飛行機に乗ってアメリカに直行。

つまり日本に行ったというだけで、特に日程の中で土日が含まれないと、空港とホテルと会社しか知らないのが大半のケースなのです。D君の場合、過去の出張が全てこのケース。

ちょっと憂鬱な出張になってしまいました。行き先は栃木県宇都宮、東北への入り口です。
成田から宇都宮まではバスが乗り換えがなく便利なのですが、彼はアメリカ人の中でも大男の方で、身長も190cmはあります。バスの座席はうんと狭く、彼に3時間のバスでの移動はちょっと気の毒。上野までスカイライナーという電車で、そして宇都宮までは新幹線で行くことにしました。

私はどこかに行った時は、ちょっと立ち止まって風景を観察(本当はボーッと眺めているだけ)したり、気になった店とかがあると入ってみたり、何かを食べたりするのが習慣で、普通の人が旅をする時間の2倍くらい時間がかかる時があります。
ところがコブがついているとこれができない。さっさと歩いて、さっさと電車に乗ってただひたすらにホテルを目指す。
初日から私はストレスが溜まってしまいました。
新幹線に乗るオハイオ人
D君は上野からの2階建ての新幹線を見て、「これに乗りたい」。
幸い自由席の2階に余裕がありこれに乗車。「2階席て何でこんなに静かなの。」、D君はすっかり2階席が気に入った様子でした。

ホテルは宇都宮駅から歩いて5分のところです。私は気を利かせて部屋はツインルームのシングルユース、つまりツインの大きな部屋で眺めのいい最上階をを予約しておきました。
この気配り、彼はわかったかな?

ホテルに着いたのが午後8時。さっそく食事に行くことにしますが、何を食べるかなー。初日からあんまりショックを与えても何だから、まあ無難なところで焼肉屋に行くことにしました。

行った焼肉屋は全部座敷席で、割と雰囲気のいいところ。座敷席というのは当たり前ですが、靴を脱がなくてはなりません。

オハイオ人は日常生活の中で靴を脱ぐというのはありませんから、靴はヒモでガチガチに縛ってあります。つまり脱ぐためにはこの靴ヒモを全部緩めなくてはなりません。これが一苦労なのです。
膝を折ってしゃがんで、ウンウン言いながらヒモを緩めておりました。

脱いだ靴は当然、帰りにははかなくてはなりません。この時もしゃがんでもう一度ヒモを締めなおします。2分くらいかけてしっかりと締めなおします。ヒジョーに面倒な事ですが仕方ありません。
オハイオ人にとって靴は服の一部、いやパンツと同じで、そんなに頻繁にはいたり脱いだりするものではないのです。

オハイオの家の玄関のドア−には丁度足の高さにプロテクターが取り付けてあります。これはドア−のノブを押しながら靴で押して入る習慣があるからだそうです。私の家の扉にもあります。
ドア−を靴で蹴って家に入ってそのまま部屋の中に入る。靴を脱ぐのはベッドに入るときだけかも知れません。

そう言えば、今まで日本に連れてきたオハイオ人で、「ここは靴を脱ぐのかい?」、とウンザリしたような顔をしたのが何人もいたのを思い出しました。
改めて認識をしました。
でもあんなエベレスト登山でもするようなヤボな靴をはいてくるなよなー、日本に来るときは。

私の場合は靴は簡単に脱げるように、そして靴ベラがあればさっとはけるように靴ヒモは調整してあるので、3秒で全て完了です。
靴で問題があったのは何も男だけではありません。
半年程前に隣のセクションのKさんという駐在員が、Mという女性を連れて日本に行きました。連れて行ったのは港区にある本社。

この時のMさんも女性ではありますが、やはり登山靴まがいの大きな靴と、よれよれのズボンをはいていたそうです。
Mさん、朝ホテルで彼女を見て、「ウーン。」
そして本社で仕事をした帰り道、
「お前ナー、そのロッククライミングシューズ止めたら?ハイヒールくらい履いたらどうかな?ここはTOKYOだよ。」

その瞬間、彼女は真っ赤になって下を向いて真剣に怒った表情に急変。
事情がわからないKさんは、「?????」。
男性が女性に、「ハイヒールをはけ。」というのは、非常に微妙な別な意味があるというのをKさんは後で知って、かなり慌てたそうです。
下手すればKさんは訴えられて、日本に強制送還になってもおかしくない発言だったと言っておりました。

アメリカ人のMさんは1週間の日本での生活で、完全に体調を崩し、「もう絶対に日本には行かない。」、と言っているそうです。

とにかくまだわからない事だらけです。オハイオとオハイオ人は。
inserted by FC2 system