02−05−16 日本からのお客様−その1
自分の知り合いが外国にいると、その国に行ってみたくなるものです。そんな訳で、海外駐在も何年か過ぎると、いろいろな人が尋ねて見えますが、ナゼか私の場合計画をしていても事前にキャンセルになったりで、決して多くはなかったのです。

そのような中、今回は日本からMさんご夫妻がオハイオに見える事になり、約5日間、お世話をさせて頂きました。
Mさんは金融関係のお仕事で、30年勤続の1週間のお休みを利用して、オハイオに見えたのです。

Mさん自身は何回か、海外旅行の経験はあるのですが、オハイオのような田舎に来るのは初めて(そもそも、オハイオなどに観光に来る人はおりません!)、奥様は海外に出るのが初めてとの事で、ナマの私達の生活を見ていただく事にしました。

(Mさんのメールより)

空港からは奥さんの運転でSHINさんの自宅へ向かう。広い道路に自動車がいっぱいでびっくり。町は緑が豊かでゆったりとした感じです。
2階建より高い建物はほとんどありません。風景は北海道の旭川の郊外の景色にそっくりです。

SHINさん宅は空港から30分ほどの Dublin という町の Schoolway Court(コート) にあります。
コートというのは 大通りからひいた路地をいいます。この路地に沿って住宅が並んでいます。いろいろなコートを観察しましたがたいていは10軒程度の家が建っているようでした。

町ではどこでもこんなふうにして集落をつくっています。
なかなか素敵な雰囲気のところです。人の気配がどこにもしませんが、オハイオの町はみんなこんな感じです。人間はほとんど歩いていません。

住宅の周りはどこでも全部芝生です。アメちゃんは本当に芝が好きなようです。どこの家でもきちんと手入れをしいます。けっこう手間がかかるのではないでしょうか。

近所には信じられないようなものすごいコートもあります。まるで軽井沢の高級別荘のような家ばかりが建っています。
田園調布みたいですが、日本のような大金持の家というわけではないようです。感心するのはどのコートもおなじようなクラスの家が集まっていることです。
小住宅の隣が大住宅というのは見ませんでした。

SHINさん宅の近所で鹿を 2頭見ました。小鳥はピーピーとしてたくさんいます。アライグマは本当にたくさんいるようです。
自動車にはねられて道ばたによく死んでいました(日本では猫か犬かネズミですが)。

翌日はコロンバス周辺をドライブ。Mさんは観光地とかにはあまり興味はなく、オハイオのアメリカ人、そして日本人の駐在員がどのような生活をしているのか、そのような方面に興味をお持ちです。

そこで私は先ず、近所のスーパーに案内をしました。やはり日常生活を理解してもらうには自宅の紹介と、そして「買い物」の環境です。

(Mさんのメールより)

買い物はスーパーにいきますがこれまた広くてなんでも売っています。
特筆すべきは、一切、音楽や呼び込み、売り子の叫ぶ声はしません。シーンとしています。
小生、騒音が大のにがてなのでうらやましく思いました。


うーん、言われるまでは気が付かなかった。そう言えばそのとおりなのです。どんなお店でも本当に静かです。
5m先で、1セント玉を落としてもその音が聞こえる(ちょっとオバー?)程かも知れません。

やはりビールの値段が安いのが気になったらしく、この日は30本入りのパックが13ドル(1本50円くらい)で売っておりました。

普段は12本で7−8ドル(1本80円くらい)ですから、安い。確か一番安いのは12本で5ドルを切るのがあったと思います。

果物売り場に行ったMさん、ココナッツを見つけました。それにメロン、パパイヤも。
「これ買って行って、食べてみませんか?」
「エッ!?」

これ以外に、ビールとか水とかの買い物をして一旦私の家へ。
ココナッツというのは実の中に入っているジュースがおいしいという事で、私は25年以上前に南洋に行った時、ココナッツで作ったお酒は飲んだ事がありますが、ジュースはありません。

硬い殻から取り出したジュースは極めて微妙な味。ウーン、なるほど。

Mさんにとっての、オハイオでの最初の珍味は近所で買ってきた、ココナッツジュースでした。
オハイオでのMさんの宿は私の家から車で5分程度の所にある、田舎ホテル。2人で約100ドル。朝食はタダです。
このホテルは日本からの出張者がよく宿泊するホテルで、人気もまあまあ。

最大の特徴は寝室以外にもう一部屋あって、大きなソファー、テーブルが置いてあり、ゆっくりとくつろげるところです。

更に台所があり、冷蔵庫、電子レンジ、鍋とかフライパン、食器も一式そろっており、自炊もできるのです。

このホテルはMさん夫妻にも気に入った様子で、2日目の夕食は近所のスーパーで食料を買い込み、ここで夫婦水入らずで食べられました。

いかに気に入られたか、何と翌日の夕食もここで2人で食べられました。
日本からの出張者が毎晩、ここで酒盛りをしている気持ちが、何となくわかったような気がしました。

アメリカのホテルのいいところは、料金は人数ではなく、「部屋を借りる」という考え方から1人でも、2人でも、3人でも同じ料金です。

オハイオに来たからには、車で少し走って、広大なトウモロコシ畑を見て頂く必要があります。

せっかくですから、私の会社のPRも兼ねて会社の方まで行ってみる事にしました。
コロンバスの市内から離れて10分もすると、果てしないトウモロコシと大豆畑ばかりの農業地帯です。

Mさんは畑の中に時々見える、遠くの農家を双眼鏡でずっと観察を続けておりましたが、カナダに往復を含めて滞在中に走った1800kmのドライブで、人間を見かけたのはタダの1回だけでした。

「何で人がいないの?いったいどこで野良仕事をしているの?
畑と家がほんとうにたまに見えるだけで、いったいどうなってんの?」


言われてみればそうなのです。とにかく人を見掛けない、広いだけなのです。
でもトウモロコシって種まいて、後は飛行機で農薬まいて、秋になったら巨大なコンバインであっと言う間に刈り取ってしまうのですから、日本人がイメージする、畑で腰を曲げて鍬を持ってやる農業とはちょっと違うのかも知れません。
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