01−03−21 不法出国、入国の疑い?
下の娘のパスポート騒ぎもデトロイト領事館が、郵送申請を受け付けてくれたお陰で、何とか無事切り抜けました。
デトロイト領事館のあるビル
後は、指定の日以降に領事館まで行って、本人が受け取ればいいだけなので、会社を1日だけ休んで、上の娘も連れて4人でデトロイトまで出掛ける事にしました。

デトロイトは2回ほど行ったことがあるのですが、領事館はダウンダウンのオフィス街のど真ん中。
念のためにナビ付の車を準備して行くことにしました。

日本では最近はナビ付の車は普通の存在ですが、アメリカではナビ付の車を見つけるのは極めて難しく、それこそ何百台に1台以下の確率だと思います。

アメリカ人はナビを見て、
「こんなもの何に使うんだい?こんなおもちゃ買ってどうするんだい?」

というのが大体一般的な反応で、当面は普及しそうにありません。これは携帯電話も同じで、とにかく一般的ではないのです。

領事館は9AMー11:00AMと13:00PM−17:00PMが受け付け時間です。コロンバスからは350kmくらいありますので、余裕を見て3時間半、9時半頃家を出てる事にしました。
フリーウエーを順調に走り、オハイオ州を出て、ミシガン州に入ると約1時間でデトロイトです。
ミシガン州はフリーウエーの速度制限がオハイオより10マイル(16km)早く、75マイルです。という事は、80ー85マイル(140mk/h)で走れる(?)のです。確かにフリーウエーのスピード感はオハイオに比べてうんと高く感じます。

ナビ付の3500cc、7人乗りのミニバンはやはり快適で、お菓子を食べたり、飲み物を飲んだりで、カミサンと娘達はまるで遠足気分。
やがて大きなビルが見えだし、領事館のあるルネッサンスビルまでほんの少し。

ダウンタウンというのはやはり駐車場が心配なのですが、領事館の案内書には大きな駐車場があると書いてあります。
ビルの横にあるカナダ国境のゲート!!
ビルのほんの手前に入り口があったので、ここを右折、目の前にいくつものゲートがあり、その向こうに立体の大きな駐車場が見えます。

「ハハーン、ここで料金を払ってあの駐車場に行くのか。」

ゲートにはひっきりなしに車が入って行きます。料金は2ドル25セント。
「ウン、安いな。時間制限もないのか。」

料金はナゼかカナダドルでも表示してあります。
「???」

お金を払って車を発進させて10秒くらい経ったところで、一気に不安が出てきました。
「これは駐車場へ行く道ではない。ひょとしたら、、、、」

そうです。この入り口はルネッサンスビルの駐車場に行く道ではなく、対岸のカナダに行く国境のゲートだったのです。
「お父さん、さっきのゲートの横に DUTY FREE SHOP があったわよ。」
と上の娘が言います。

私達は間違いなく、アメリカを出て、カナダの通関ゲートに向かっていたのです。4人ともパスポートなしで。
カナダの通関ゲートの手前に制服を着た男が立っていたので、ここで急停車。
「どうしたのですか?」
「いえ、道を間違えてここに入ってしまったのです。」
「じゃ、あそこの通関ゲートで説明して下さい。アメリカ側に送り返してくれますから。」

通関ゲートにまで車を転がし、ゲートの職員に同じ事を説明します。

「国籍は?パスポートを見せて下さい。」
「パスポートは持っていない。」
「じゃ、どこにあるのか」
「家に置いてきた。」
「家はどこか。」
「オハイオのコロンバス。」
「???」

「△△△△□□□????」
焦っているせいか、英語が聞き取れません。
下の娘が手伝ってくれました。やはりヒアリングは私より数段上です。

実に胡散臭そうな顔をして、何やら書類を書いて、これを持ってあっちに行け、と指図します。その書類を持って更に車を進めると、今度は車の検査です。

「何をしに来た。」
また同じ説明をします。
「この車は誰の車だ。」
「これはカンパニーカーだ。」
「車を置いて、そちらの事務所に行け。」

どこの国でも同じですが、通関の職員というのは実に態度が横柄です。もう私もかなり頭に来ておりました。

事務所に行くと、また同じ事を聞きます。身分証明書はオハイオの運転免許証だけなので、これを見せると再び、何か書類を作っております。
全員の名前と生年月日を聞かれました。
「奥さんの名前と、生年月日は?」
「エーッと、、、、」
その職員はニヤリとして、自動車の街、デトロイト
「知らないの?」
この職員は以外と人なつっこい男でした。

「じゃ、この書類を持って、アメリカ側に行って下さい。」
何だ、まだカナダ側にいたのか。あちこち行けと言われて、いったい自分がどこにいるのかわからなくなっておりました。

鉄の門をリモートコントロールで開けてもらい、言われた方に行くと今度はアメリカ側の通関事務所です。

又同じ事を聞かれます。
ここの職員の態度を見て、もう私は切れそうになりましたがじっと我慢をして、言うことだけ言ってプイと横を向いておりました。

「OK」
私は礼も何も言わないで横を向いたまま、長居は無用とそこを出て車に向かいました。

この間、全部が終わるまで約40分。カミサンと20才少しの娘を2人連れておりましたので、職員もあまり疑いを持たなかったのかも知れません。ただ、免許証を取り上げられた時は約10分くらい待たされたのは身元の確認をやっていたのだと思います。

やっと解放され、元の道路に出た時は本当にほっとしました。
カナダ国境のゲートから先50mの所が行くべきビルの入り口で、ここに入り、やっと立体の大駐車場にたどり着きました。

ここは巨大なビルがいくつも建っており、目指す日本領事館はこの中の400番ビルの16F。各ビルは通路で結ばれており、1回目は間違って100番ビルの16Fへ。うろうろしていると親切なオバサンが、間違っている事を教えてくれました。
領事館の受け付けロビー、奥が窓口です
やっと目的の領事館のフロアーへ。入り口で持ち物検査をして、ロビーへ。結構広いロビーです。
パスポートの受領は10分ほどで終了。

娘の新しいパスポートは、発行地が「アメリカ、デトロイト領事館」となっておりました。

上の娘曰く、
「かっこいいじゃん。私のパスポートはどこになっているのかな。」
「日本で作ったパスポートは全部、日本国外務省に決まっとる!」

全くみんな呑気、この上なしです。

この日はデトロイト領事館にパスポートを取りに行っただけなのですが、全くのドジを踏んでしまいました。パスポートなしで、アメリカ国境を越えてカナダに。

「面白い経験をしたね。こんなの絶対に2度とできない。」
あくまで呑気な3人でした。
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