00−03−19 さようなら、アメリカ生活
振り返ってみるとあっと言う間に終わった3年弱。
下の娘は毎日、帰国の準備に忙しそうです。が、ちっとも片付いておりません。至ってのんびりで、マイペースでやっております。でも何とか大きな段ボールの箱の荷物をを3つ程作り上げ、後はもう1個とスーツケースだけになりました。

あれもやりたかった、これもやりたかった、といろいろとあるようですが、とりあえず4月からの新しい生活に向かっての準備です。
とうとう日本に帰ります
日本に帰るに当たり、最後に何をさせてやるか、私はいろいろと考えてみました。
友達とのお別れ、それにあれやこれやの買い物、これは私がとやかく言わなくても、娘とカミさんでせっせとやっております。

私が取れる時間はせいぜい3ー5時間、私にしかできない事、いざ考えてみると以外と難しいものです。
私はいろいろと考えた挙げ句、2つの事を選びました。
一つは拳銃の射撃、もう一つは典型的なアメリカ人の中流家庭を見せてやる事です。

時間を十分にとる事ができればもっと他の事を経験させてやれるかもしれませんが、何せ私もここのところは土曜日もダメで、日曜だけしか空いておりません。
そのような中で、この2つは私だけしかやれない事で、しかも日本に帰れば絶対に経験できない事なのです。

拳銃とアメリカ人の家庭、これは一見何の関係もないようですが、実は大いに関係があるのです。

先週は先ず、拳銃の射撃に娘を連れて行きました。私は拳銃を持っていないので、同じ駐在員で持っている人にお願いをして一緒に行ってもらう事にしました。
コロンバスから東に50km程の、豊かで典型的なアメリカの田舎町、ここのインドアの射撃場に行ってみました。

日曜の午後、多分このような街の住民はアメリカでも一番教会に行く人が多いところではないかと思います。
そのような人達が午後にはたくさんこの射撃場に詰めかけて、拳銃の射撃の練習をするのです。
マズマズの成績!?よく命中しております
大きな射撃場で、当然大きなガンショップもあります。
娘はかなりびっくりした様子で、特に小学生の女の子が両親に連れられて来ているのに驚いた様子でした。

私達は200発の弾を買い、3人で交代に友人の拳銃を撃ってみました。この拳銃はベルギー製の38口径の軍用で、大型のすごい重いヤツです。

1発当たれば腕なんか吹っ飛ぶ強力な銃です。
娘も50発程撃ちましたが、的には私より良く当てておりました。

私は何も感想は聞きませんでした。きっと大いに考えるところがあったに違いありません。
これだけたくさんの人が日曜の午後には射撃の練習に来る、しかも男も女も。そしてテレビか何かを買うように簡単に拳銃が手に入る、多くの人が毎日一杯殺されている、、、、、。
もう一つのさせてやりたかった事は、典型的なアメリカの中流家庭の家族でした。
娘は家庭教師の家とか、ホームステイの家とか、その他友達の家とか、アメリカ人の家族はいくつも知っているのですが、これらは殆どが田舎ではなく、町に暮らしているアメリカ人です。

私は田舎に住んでいるアメリカ人の家庭を見せてやりたかったのです。
田舎と言っても、私達の家から車で30分弱のところです。
私は会社の中でこれにふさわしい、アメリカ人をそれとはなく探しておりましたが、最近新しい家を買ったというアメリカ人がこれにふさわしいと思いましたので、彼にお願いをして今日の午後、家を尋ねる事にしました。

彼は43才、奥さんと子供4人、会社ではアシスタントマネージャーです。日本で言う、課長補佐です。
奥さんとは再婚で、上の一人が彼の連れ子、後の3人は今の奥さんとの間にできた子供です。

買った家は建坪が400平米に近い、かなり大きなものです。
それにも増して、ちょっとした驚きは土地の広さで約17000平米(約5000坪)。一番近い隣の家まで7ー800mはあると思います。
敷地は大半が林で、敷地の中にキャンプ場を作って、夏はここでキャンプをするんだと言っておりました。

家の中をじっくりと案内してもらいましたが、なかなか立派な造りで、亡くなった奥さんのおばあさんが持っていたたくさんのアンティックの家具が、そのままあちこちに実際に使われておりました。

お茶とケーキを頂いて雑談をしていると、彼が子どもたちに会いますか?と言い、他の部屋にいた子どもたちを呼びました。
8才、10才、11才の子供が現れ、それぞれ自己紹介をしてくれました。

名前と、学年と、あとはもじもじしていたので私が学校で得意な事は?という質問をしたところ、3人ともこれを加えてやってくれました。
可愛い、そして純情な子どもたちで、ある程度きちんとした家庭で育てられているようすが一目でわかりました。

いろいろな話をして、2時間程でおいとましましたが、天気の悪い冬の日なんかは、自分の家の玄関から道路に出るまでの自分の敷地内を、お母さんが車で送らなくてはならないという広さの一軒家に住んでいる家族。

これは決して大金持ちとか、そういうレベルではなく、極く普通の中流のサラリーマンの家庭なのです。
広大な敷地の木を切ったり(15mくらいの木が何百本も生えている)、芝生を植えたり、デッキを作ったり、全て彼が自分でこれからやるそうです。

また、以前に住んでいた家がまだ売れていないので、家のローンを2軒分払っている彼、とうとう奥さんが月曜日から働かなくてはならないと言っておりました。
近くの造園業者の事務所で電話番をするそうです。

自分の家に帰って改めて家の中を見回しましたが、何だかちょっぴりミジメになりました。
アメリカに永住する訳ではないので、新しい家を買う気にはなれないし、その前にそんなお金はないし、まあ今の家でガマンするより仕方ありません。

拳銃射撃という、高校生の女の子がやりそうもない事と、またアメリカの田舎に住む典型的な中産階級の家庭を垣間みて、娘は何を感じたでしょうか。
今度夏休みにこちらに来たときにじっくりと聞いてみようと思います。
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