アンティックショー
オハイオをあちこちドライブをしているとアンティック品の店がいたるところにあるのに気が付きます。
アンティック品とは「骨董品」の事で、何でアメリカ人はこんなに骨董品が好きなのか、ちょっと日本人には理解できない程、骨董品屋つまりアンティックショップを見かけます。

郊外にあるアンティックショップの規模は桁違いに大きく、店の中をぐるっと見て歩くだけで2−3時間は必要なところもあり、驚かされます。
アンティック品はこれらの店で買う以外に土日に頻繁にあちこちで行われるアンティックショー、別名「蚤の市」、つまりフレアーマーケットで手に入れる事ができます。

私は骨董品にはラジオ以外、全く興味はありませんが、土日の時間つぶしにこのアンティックショーに1年に1回くらいの頻度で行っております。
ガラクタを片手に喜々としているアメリカ人を見ると、またまたアメリカ人が理解できなくなるのです。
フェアーグランド

オハイオのアンティックショーは
通常、各郡にあるフェアーグランドと呼ばれる、各種催し物を行う広い敷地を利用して行われます。

大きなフェアーグランドは2−3km四方はあり、駐車場に困る、なんてことは絶対にあり得ません。とにかく広いのです。

日本ではこのような施設は馴染みが少ないのですが、まあ東京晴海の国際見本市会場の超田舎版が一つの州で10カ所以上あると解釈すればいいと思います。
屋外テーブルの露天ショー

初夏から秋にかけてはごらんのような屋外のテーブルでの店が中心になります。

では誰がこのような骨董品を売っているか?屋外テーブルは普通の人が自分の地下室とか、納屋から持ってきて売っているのです。

立派な彫刻から(こんなのは少ない)穴の空いた空き缶(このテの物が殆ど)まで、考えつくあらゆる骨董品を、とにかく並べたくっています。

半分以上は
はっきり言って只の「クズ」です。が、アメリカ人はこれを買っていくのです。
代表的な「ガラクタ」

骨董品(ガラクタ)はテーブルに陳列して売るだけではありません。このように乗ってきた車の上に置いて売っている人もおります。

このボロボロの如雨露(じょうろ)が何と36ドル!!つまり4000円!!!隣のポットとボールは30ドル!!

骨董品とは売る方の価値と買う方の価値が一致した時にその売買が成立する、なんてアメリカ人が言っておりました。

売るためには5−10ドルの場所代を払わなくてはなりません。
納屋から持ってきた鉄クズ

これなんか、もう私の理解を超えている品物です。

一人のオジサンがこのガラクタの中から、子牛のの首に付ける大きな鈴(?)を見つけて値段交渉をしておりました。
真っ赤に錆びた、牛の首に付ける鈴。売る方も、買う方もどうみても地元のお百姓さんでした。

ところが、このような中に時々掘り出し物があり、私も19世紀末のものと思われる、アイロンを見つけました。
もちろん真っ赤かの錆びだらけ。
ちょっとだけまともな品物

当然このようなテーブルも多くあります。
しかし、大半はレプリカで、本物はあまり見かけません。

ただ電気スタンドとかで60年とか70年以上の前の非常にデザインの凝ったものなんかがあり、何とこれらが200ドルとかで売られていたりします。

どこかの高級ホテルで使われていたものなのでしょうか。手作りの素晴らしいものでした。


やはりアンティック品は見る目がないとダメで、それに「オタク」的な要素も必要なのでしょう。
室内の展示販売

室内は業者が殆どで、家具とかも売っております。外観はボロボロでも、レストアが可能か、どうかで大きく値段が違っております。

またアメリカらしく、西部劇映画でしか見たことのない拳銃とかライフルも売っております。

以外と多いのがドレスとかの衣服類。白いドレスなんか黄ばんでいるのに、何十ドルもの値段が付いております。
あらためて「いったいどんな人が買うの?」と頭が混乱してきました。
意外な人気の「ビン」

ビンのアンティックコレクションも人気が高いようです。
ビンとは空ビンだけではなく、中身の入っているものがうんと高いのです。

よく見かけるのはコカコーラで、中身が入った1930年頃のものとか、人気があるようです。この時も木の箱に入った1925年と書いたコーラが24本、とてつもない値段で売られておりました。

中身の入った未使用の何十年前の調味料、その他食品までがアンティークコレクションの対象です。
傘立て、かな?

とにかく何に使っていたのだろう、と先ず用途がわからないものが大量にあります。その一つがこれ。

傘立てに見えるのですが、本当は何なのかよくわかりません。アメリカ人って雨が降ってもあまり傘をささないし、昔は違ったのかな?でもオハイオはそんなに雨は降らないし、、、。

このようなものを見て考えるだけで疲れてきます。
ちなみにこの木でできた傘立て(としておきます)、100ドルです。
実際の貨幣価値からすると2万円は超えると思います。
腹が減っては買い物できぬ!

焼きそばとか、イカ焼きはありませんが、フェアーグランドのでの催し物の時には必ずこのような食べ物屋が出ます。

ハンバーガー、ホットドッグの定番から、ジャガイモの天ぷら、タマネギの天ぷら、etc。

アメリカの田舎の屋台の食べ物を知るには絶好の機会で、うん、これは旨い、というものにたまに出くわします。

このようなものはアメリカに住んでいても、普段はなかなか口にする機会が少ないものです。
カラオケをやっていたオジサン

写真ではちょっと判りにくいのですが、このオジサン、客寄せのためか、それともあまりにも売れないのでヤケクソなのか、カラオケやっておりました。

残念ながら美空ひばりの演歌ではなく、アメリカの歌でしたケド。

売る方も買う方もお互いに楽しみながら、広いフェアーグランドに集まって、土曜日、日曜日を過ごす。
実にオハイオらしい、健康的な休日の過ごし方です。
アメリカの家に住んでみて思ったのですが、たとえばリビングルームにさりげなくアンティークの品物を置いておく、というのが非常に様になるのです。
それにガラクタに見えても、それをレストア(修理、修復)するための道具、材料が非常に安く手に入る事もわかりました。

でもアメリカって何で100年も前のものがたくさんあるのだろう。恐らく理由は次の3つだと思います。

・家が広く、地下室もある。品物をどんどん捨てて、住むためのスペースの確保を考える必要がない。
・湿気が少なく、長期間物を保存しても物が痛まない。
・国土が戦災に遭った事がなく、古い物が消失していない。

でもあれだけの人が毎回のアンティックショーに集まるのは、やはり古い物に対する考え方が日本人とは根本的に異なる、と考えざるを得ません。

私も最近私も、古い物に対して何か暖かみを感じるようになってきました。機能、性能だけを追求した工業製品にはない、暖かみがアンティークにはあるように思えてなりません。
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