帰国後1年の感想 : 何かおかしいゾ
40代半ばから定年までの14年間のオハイオ生活をやって2010年6月18日に日本に帰国して1年。仕事は再雇用社員という事で継続中ですが未だに戸惑うことばかり。。
当たり前ですが私は日本人です。でも日本人モードからオハイオ人モードに1/3くらい切り替わっていたので、再び日本人モードに戻しているところです。

そんな中、この1年を振り返って毎日の生活でちょっぴり感じる”???”を記してみました。もう少し整理できるかも知れませんが、思いつくままに書いてみました。何か新鮮(?)に感じる事ばかりです。
1.挨拶がないな〜

会社に行って最初に感じたのはみんな朝の挨拶をしない、又は聞こえないような小さな声で、「おはよう、、、」、という人が多い事だ。私が普通の声で、「おはよう!」と言うと驚いたような顔をして、「あ、おはようございます。」、という人も結構いたりする。

会社には何と”モラル向上委員会”なるものがあって「朝はみんなで挨拶をしよう!」、なんてキャンペーンをやっていたのには驚いた。会社で幼稚園又は小学生の低学年で教えなくてはいけない事をいい年をしたおっさん、おばさん社員に呼びかけている。

駐車場から事務所に入る途中で元スポーツ社員がでかい声で、「おはようございます!」、とか言ってみんなに呼びかけているのを見たとき、ウーン、、、唸ってしまった。

2.挨拶が多すぎる

スーパーに入る、「いらっしゃいませ〜。」、デパートに入る、「ようこそ、いらしゃいませ〜。」、会社の食堂のおばちゃんがご飯を盛って手渡すとき、「ありがとうございま〜す!」、新幹線の改札の横に立っている若い男が、「ありがとうございます〜!」、の連呼。

日本はどこに行っても挨拶(掛け声)だらけである。これは一体何なんだろう?相手の目を見ないで、大きな声だけを出している。
そこでこの現象についてちょっとだけ考えてみた。

実は「ありがとう」、は「客にありがとう」、と言っているのではなく自分自身に対する掛け声なのである。
言う事によって自分にカツを入れているのである。言われた方の客は、「気合が入っとるな。」と思っても「おっ、サービスがいいな!」とは一つも思っていない。

オハイオでレストランに入ってもウエイトレスのオネエちゃんの、「らっしゃ〜い!」、はなかった。せいぜい支払いを済ませた時にチップの金額を鋭く一瞥し、「サンキュー」、これだけであった。

日本人は”かけ声”の民族だとつくづく思う。

3.ここまでやらせるのかネ〜

三重県鈴鹿市のゴミの仕分けは異常である。燃やせないゴミ、プラスチックゴミ、資源ごみA、資源ゴミB、有害ゴミの6種類に分ける必要がある。
資源ゴミBはペットボトル、アルミ缶、鉄製の缶、ガラス瓶、衣類などの仕分けも必要である。ペットボトルはラベルをはがして、栓も別にしなくてはならない。

だからゴミ出しの日は大変である。町内会の係がゴミの集積場に立って、これらのルールが守られているか、監視の目を光らせる。
ゴミを持ってきた住民はオドオドとした目つきで、ゴミを捨てさせて頂く。

そしてやがて市のごみ収集車がやってきてゴミを持っていく。この時に一つでも違反が見つかると、そのバケットなり袋は持って行かない事がある。
だからごみ収集のおっさん連中は北朝鮮の収容所の看守(見たことはないが)みたいな目つきをしている。

はっきりと言う。これは鈴鹿市の行政の怠慢(ゴミ仕分け、焼却設備能力不足)を住民に押し付けているだけである。
鈴鹿市というのは20万人しかいないのに巨大な庁舎を建てて、更に市内に30箇所以上の出張所を設けている。出張所の職員の人件費だけでも10億円は下らないだろう。

オハイオはどうであったか?
ドラム缶のようなゴミ缶(樹脂製)が各家庭に無料で配られ、これに生ゴミから鉄くず、動物の死骸まで何でも放り込んでおく。基本的に何を入れてもいい。私はテレビもここに放り込んで捨てた。
捨てる物がこの巨大なゴミ缶に入ること、だけが基本的なルールであった、と思う。
(実はこの回収システムは大問題があるだけど。)
4.靴を脱ぐ

病院に行く。入り口で靴を脱いでスリッパに履き替える。一杯飲みに行く、焼肉屋へ行く、これも靴を脱ぐことが多い。
あるクラブに行ったら靴を脱がされた。
市役所に行く。職員は靴をはいていない。スリッパをはいてペタペタ歩いている。

オハイオ生活が長くなるにつれて靴の履き方が変わった。靴紐は靴を履くときにしっかり締めるようになった。
だから脱ぐときは基本的に靴紐を緩めなくては脱げなかった。
ナゼか?靴が足に密着していないと歩くときに足を引きずるように歩く事に気が付いたからである。

アメリカ人は一般的に足を引きずって歩かない。だから歩く格好がいい。観察してみた。彼らの靴は足に密着しているのである。
これのマネをしてみたら歩く格好はよくはならなかったが、歩きやすく疲れなくなった。そこで靴は紐をグイと締めてはくようになった。

これが日本では困るのである。あちこちで靴を脱がなくてはならないからである。
日本は畳の文化である。靴はさっと脱げるように、靴紐はギュウギュウに締めてはいけない。
日本ではやはり草履がゲタをはくのがいいのかな。

5.上げ底文化

ピーナッツと柿の種のミックスを買った。2重の包装がしてある。大きな袋の中に小さな袋がいくつも入っている。試しに袋を破って中身を全部出してみた。容積で言えばもとの袋の半分である。
同じように袋に入った海苔アラレを買った。これも中身だけを取り出してみた。容積は1/3くらいだった。

会社の自動販売機でコーヒーを飲む。紙コップに70%くらいしか入っていない。最初は故障かなと思った。「少ない。」、と言ったら周りの連中に変な顔をされた。

居酒屋で生ビールを飲んだ。ジョッキの1/4は泡である。何か損した気分になる。
マクドナルドでコーラを頼んだ。カップの1/3、いや半分くらいは氷である。

オハイオでお菓子を買っても袋の大きさに対して中身が極端に少ないというのはない。
自動販売機のコーヒーはカップに90%、なみなみと入って出てくる。
ビールは1/4も泡を入れて出したら、客に即文句を言われるだろう。だからバーテンは泡がなくなるまでドボドボこぼして、泡をほとんどなくしてから客に出す。

袋の大きさに対して中身が少ないのは、お菓子がつぶれないようにしているから、コーヒーが一杯で出てこないのはこぼして火傷をしないようにするため、ビールに泡を入れるのは味を保つため、カップに氷をどっさり入れるのは、、、とそれぞれ理由はあるようだ。

でも結局は上げ底じゃないの?

6.男泣き

日本では男が簡単に泣く。子ども、青年も、おっさんも、おじいさんも、サラリーマンも、漁師も、百姓も、警察官も、消防官も、俳優もみんないとも簡単に人前で泣く。と言うか目をウルウルさせて、言葉を震わせる。

福島原発に出動した東京都の消防の隊長さんが、「みんなのため、そして家族のために私は頑張りました、、、。」、とか言って目に涙を一杯浮かべて、記者会見していたのにはさすがにびっくりした。

テレビを見ていると男の目頭ウルウル、涙一杯の、主として報道であふれている。カミさんとかに言わせると、気持ちの現れであるからいいではないか、と言う。

アメリカでは男が人前で涙を見せることは非常に限られている。ナゼか?涙を見せるのは内面の弱さを暴露している事になるからだ。
15年前にオハイオに行く前は、日本でも男がウルウルになる画面がテレビに登場する事はなかったと思う。

日本の男は変わったのか?
オレも日本に帰ってきたので変わるのか?感激したり感動したりしたときは、ウルウルにならなくてはならないのか。

ほんの最近まで日本では男は生まれて死ぬまでに泣いてもいいのは3回だけと言われていた。1回目は生まれたときにオギャーと泣く、2回目は、、、やめとこ、、、。
7.クレジットカード

オハイオでは買い物は殆どクレジットカードで支払いをやっていた。
1996年当時、オハイオ人のスーパーでの買い物を見ていると、まだパーソナルチェック(個人小切手)で支払う人がかなりいたが、その後ほとんど見かけなくなった。

インターネットで買い物をする時はクレジットカードは必須になっている。日本に帰ってきても買い物はクレジットカードで支払いを行う。
支払いでクレジットカードを出すとちょっと不思議な質問を受ける時がある。
「一括払いですか、分割ですか?」

これが20万円くらいの買い物の場合なら何となくわかる。でも198円の買い物でも聞いてくるのである。オハイオではクレジットカード決済で分割払いというのはなかった。
クレジットが払えない場合、利子だけ払えば支払い元金の持ち越しができる。(これが実は問題を作っているのだが。)

でも198円をどうやって分割払いにするのだろう?5回均等払い、なんてできるのだろうか。今度一度「はい、分割でお願いします。」、と言ってみようかしらん。

8.ご本人様でしょうか?

帰国後2月弱で定年、そしてこれに伴ういろいろな手続き。よくもまあこんなに一杯あるな〜、という感じだった。
みんなに聞くと定年の何年も前から心の準備も含めて、いろいろと備えているのであまり驚かないようだ。
私は帰ってきてからおもむろに考え出した。「あっ、オレも定年かあ〜、、、。」

それはさておき、手続きに伴い郵便で大事な書類が行き来する。これらの郵便の多くは本人指定で送られてくる。
当然と言えば当然であるが、本人指定で送られてくると本人しか受け取れない。基本的にカミさんが代理では受け取れない。

家に来た郵便とか宅急便の配送員は本人である事を確認して、そしておもむろに郵便物とか品物を渡してくれる。本人確認は免許証を見せるのだが、中にはその免許証の番号を控えていく場合もある。
本人が不在だと電話とかで時間指定をすると、その時間に持ってきてくれる。これはムダなサービスコストがかかっているような気がしてしまう。

契約とかちょっとでもお金がからむ事で電話などで問い合わせてもしつこく、「本人確認」がある。何でも本人、本人、本人である。
14年前はこんな事なかったように思う。それだけ本人になりすまして、詐欺のような事をやる輩が増えたのか。

きっと大きな問題が続発したので、こういうシステムが拡大したのはわかるが、ちょっと違和感を覚える。
うんざり、である。
9.ある会議の風景

上位者が下位者の意見を遮る。
上位者が意見だか、指示だか、感想だか、ひとりごとだか、よくわからない事を延々と言う。
上位者の質問に対して答えようとすると、その上位者はそんな事わかっているという。

部下が作った資料をろくにレビューもしないで持ってきて説明、中身を突っ込まれると答えられない報告者。
一体何が言いたいのか、殆ど不明の説明・報告を延々とやる、又は言い訳ばかりが目立つ報告を延々とやる。
被報告者が報告のストーリーを初っぱなでひっくり返してしまうので、報告者が立ち往生してしまう。

会議に外国人がいるのに通訳の準備はなし、その外国人は2時間ズーッとただ座っているだけ。
本当に重要な事は会議が終わったあとで、数人だけで一杯やりながら決めてしまう。

エーイ、こんな会議やめてしまえ〜!!!

10.5年先、10年先にいくつ実現するか?

オハイオにいても日本の政治経済の事はわかっていましたが、帰国してあらためて納得しました。さて日本の5年後はどうなる?10年後は?既に見事に実現している事もありますね、、、。

経済 : 強力な製造業は完全に衰退、先端技術は海外に流出、1次3次産業はもともと一部を除いて3流であるからこれで全産業が立派に3流になる。
消費税率 : 先ず10%、最終的には20〜25%、これでヨーロッパ先進国並みになる。
年金 : 支給開始年令は70才、支給率は現在の2/3〜1/2程度、国際的に見れば年金なんか公務員以外はない国が多い中、まだまだ中の上。
健康保険 : 自己負担率50%
外国人問題 : 日本に来ている中国人と日本人が深刻な摩擦を起こす、凶悪犯罪多発
外交 : 中国、韓国の言いなり、でもアメリカとは属国関係を続ける
治安 : 警察の捜査力が相対的にガタ落ち、ヤクザとガイジンの犯罪増加にほとんど対応できなくなる
領土 : 竹島、尖閣列島は日本の領土ではなくなる、沖縄が中国領になる?
防衛 : 自衛隊は財政上、人口減少により今の1/2以下の兵力しか維持できず、相対戦力は著しく低下
政治支配形態 : 実質的にほぼ社会主義、中国のあからさまな内政干渉に何も言えなくなる?
街の風景 : 不良・貧困老人があふれ、ゴミが舞う薄汚れた風景が広がる

なって欲しくない事ばかりですが、ならないという材料を探しても見つける事ができません、残念ながら。。
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